向島日誌 : Mukae-jima diaries

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灯体 

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4日目、毎週土曜日に行っている海岸清掃の日。
早朝、直島に渡ってジョギング後、分別用のゴミ袋をもって砂浜に繰り出す。

夏に砂浜で自分たちが気持ち良く泳ぐため、と思えばなんら苦はない。
ごく当たり前の習慣として、身に付いてきたことは喜ばしい事なのかもしれない。

プロジェクトハウスでミーティング後、制作開始。

石は石の目を読んで削ってゆく。

面白いもので、石目を読んで割った石のへこみはその石が生成された時間を
辿り直すかのように、”なり”に割れてゆく。

力が大きすぎると一気に割れが抜けてしまうため、縦と横の石目を読んで
力の方向を考え、力を加減しながら、石頭で叩き削る、という原始的な方式をとる。

事前調査で採石段階では、石の目にそってドリルやはつり機で穴をあけ、クサビを打ち込んで割る、
と言う事は知っていたが、それが、最終的な小さな加工段階で応用可能かは解らなかった。

と言う事で、灯体自体も、”なり”で形作られた凹みに併せて作る事にする。

段ボールで型紙を作ってガラスを切る。

潮風や強い日光に晒される海に近い場所では、すぐに経年劣化してしまう
樹脂よりもガラスのほうが素材としての耐久性は圧倒的に上。

ステンドグラスの技法等を参考に、銅テープをガラスに圧着し、
ハンダで溶着して灯体の箱をつくる。

ガーデニングライトから取り出したLEDの基盤を潮風から
守るための工夫を考え、建築用シリコンで封入と灯体内での
固定を両立させようと試みるも、シリコン自体の透過性が照度に見合っておらず断念。

コーキングガンから絞り出したペースト状のシリコンを
へらで薄くぬり込んで防護皮膜を作る事にする。

はらっぱでねっころがって立てた細長い石を見あげてみると、
どこか近未来の建築のようなシルエットでもある。
(宇宙戦艦ヤマトにでてくるあのチューブのようなのがぐるぐるくっついたアレです。)

「アリの視点からしたら、超巨大建造物だねぇ」などと会話しながら、作業を続ける。
RC構造(鉄筋コンクリート)の建物も、たとえばカッパドキアの洞窟から連なる
人工洞窟の類いなのであって、そう考えてみれば、都市も洞窟の寄せ集めみたいなもんだなぁなどと話す。

近代建築を近代洞窟と言い換えるだけで、すこし視点が変わってくるから不思議なものだ。

(今日の発見)ねっころがって石を見上げると、宇宙戦艦ヤマトのビルに見える
 
(今日の夕食)ブタの生姜焼き、スナックエンドウと緑黄色野菜の中華炒め、
       たまねぎのみそ汁、白飯[シェフ:實藤]

(實藤)





はらっぱで 

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3日目、灯体制作チームと石加工チームに別れて制作を行う。

ハードコアブリコラージュ、と冗談めかして話していたが、やはり石の加工に苦戦。
「電動工具もなんもない時代の人達だってなんとかしてた訳だからなぁ」

基本的にはワークショップは島で過ごす時間が一番多い私、實藤がプログラムを組み立てている。

向島の集落を歩いていると周回道路の脇の草むらに”石”がごろんと転がっている。
普段は気にもとめない風景である。

「ステルス性が高い」これが材料として石を選択した主な理由である。

「重いとか大変とか少し入ってないとダメだと思うんだ。」
「夜になったらあまり気にしていなかった路傍の石みたいのが蝋燭の光みたいに
 転々と灯ってるのが品がいいと思うんだよ!どう!」などと、
嬉々として芦塚君には話していたものの、やっちまった感に少し苛まれながらトライ&エラーを重ねる。

超硬のタガネや、ダイアモンドカッターなどの存在くらいは知っていたし、
五色台にある瀬戸内海歴史民族資料館へ事前調査にも出向いたいたものの、
(もちろん予算ないっす、とかいきなりのプロ用は怪我の怖れがあるので避けた、という事情はあったにせよ)
出来るだけ素人仕事で挑戦することに意義があると考えていた。

とはいえ、今回のワークショップに参加してくれたメンバーは素人ではなかったのである。
高橋君は、基盤などの知識と加工技術を持ち、堀内君は某大手電気メーカーでプラズマテレビの
開発を手がけているエンジニアである。

アイリスオーヤマ謹製のガーデニングライトを分解して、
灯体となる太陽電池のLEDパネルと充電池を取り出し、コンパクトに加工。
灯体制作チームはいたって順調。さすがである。

さて、石加工チームは、砥石サンダーで切り目を入れてノーマルタガネで少しずつ加工
という段階に達していたものの、はやりラチがあかない。
ここで川俣丸名誉船長の高本君が偉大な発見を行う。

「實藤さん、石、トンカチで叩くと割れますよ!」

今日の発見 石はトンカチで叩くと割れる。

今日の夕食 鶏胸肉のバターとパブリカのグリル、キュウリとタマネギとレタスのサラダ、麩のみそ汁、白飯[シェフ:實藤]

最後に、この場で引用することがこのズッコケ制作作業を正当化する方便ではない事を、
敢えて強調しつつ、今福龍太さんの書籍「夜と音楽」登場する、
メキシコの詩人、オクタビオ・パスの言葉を紹介したい。

「丘、岩、渓谷、樹木、崖、といったぐあいで、風景はひとつのパズルのかたちをとる。
 その無秩序は隠れた意味を持っている。
 それは、さまざまな異なる形態の併置ではなくて、いくつもの時間=空間の一つの
 場における集積、すなわち地質学的な層なのだ。
 言語と同じように、風景は通時的であると同時に共時的でもある。
 それは地上に生起したさまざまな時代の凝縮された歴史であり、もろもろの関係の束でもある。
 隠されているもの、目には見えない地層こそが表層的なものを規定し、
 それに意味を与えている”構造”であることを一つの横断面がはっきりと物語っている。」

(實藤)

 

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初参加の高橋くんを含めた3人で始動する二日目。
早々に木工所の整頓を終え、“島の灯”をつくるための材料を探しもとめて
つらつらと向島島内を散策する。

とはいえ、その材料は易々と手に入らないようなものでもない、ごくふつうの石だったりする。
今回の主役、その一。

程よい大きさと、ていの良いかたちを兼ね備えたものをいくつか見繕って中庭まで運ぶ。
重い。
地球の表面の7割は重力を消し去る液体で覆われている、という實藤さんのいつかのことばを思い出す。
なるほど、石垣用の採石運搬に海運が大きく貢献したのもうなづける。

石は重いということであったり、水の浮力はすごいという極々当たり前の事実を
トレースし直す。
そこから見えてくるものはなにか。

夜、高本さん、高嶋さん、カワカドさん、そしてこちらも初参加の堀内くんが合流。
よっちゃんが連れてきた中奥のお客さんお二人も加わり、にぎやかに過ごす。
(芦塚)

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朝、芦塚君が熊本から到着。

熊本から岡山までの深夜バスの直行便はなく、福岡で乗り継いで
のはるばるの到着。
芦塚君と始めて会ったのは2006年の直島スタンダード展だ。
私は制作、運営のスタッフ、芦塚君はまだ熊本大学の学生であり、
運営を支えてくれたボランティアスタッフの一人だった。
向島プロジェクトのオリジナルメンバの大半はこの時期に出会っている。

「あの時はあまり話さなかったけど、長い付き合いになったもんだねぇ。」と船の上で笑い合う。
2009年、2010年のコムカイ島作りが全てだったのだろう。
日に灼かれ、揺れる海の上、体型が変わるほどの作業の日々の中で、どこか戦友の様な絆が育まれた。

9時、向島集会所から高橋君が賑やかに合流。日課となった朝の清掃を終え、朝食をとる。

木工所で作業ベンチの組み立て後、海岸を巡り、”石”を集める。

レヴィ・ストロースの「野生の思考」から引用してみよう。

 ”原始的科学というより「第一」科学と名づけたいこの種の知識が思考の面でどのようなものでであったかを、
 工作の面でかなりよく理解させてくれる活動形態が、現在のわれわれにも残っている。
 それは、フランス語でふつう「ブリコラージュ」bricolage(器用仕事)と呼ばれる仕事である。

~今日でもやはり、ブリコルール bricoleur (器用人)とは、くろうととはちがってありあわせの道具材料を
 用いて自分の手でものを作る人のことをいう。
 神話的思考の本性は、雑多な要素からなり、かつたくさんあるとはいってもやはり限度のある
 材料も用いて自分の考えを表現することである。
 何をする場合であっても、神話的思考はこの材料を使わねばならない。手もとにはなにもないのだから。
 したがって神話的思考とは、いわば一種の知的な器用仕事である。
 これで両者の関係が説明できる。

 工作面での器用仕事がそうであるように、知的面で神話的思索が思いがけぬすばらしいできばえを示すこともある。
 逆に器用仕事の神話創作的性格もしばしば述べられているところである。
 たとえば美術でのいわゆる「アール・ブリュット」や「アール・ナイフ」、郵便配達夫シュヴァルの邸宅の幻想的建築、
 ジョルジュ・メリエスの舞台装置、さらにはウェミック氏の郊外の城館~”

~したがって相違点は考えられる程には絶対的なものではない。
 しかしながら、それはやはり現実に、存在する。文明の一状態を要約したものである諸拘束に対したとき、
 エンジニアはつねに通路を開いてその向こうに越えようとするのに、器用人は好んでにせよやむをえずにせよ、
 その手前にとどまる。

 言いかえれば、技師が概念を用いて作業を行うのに対して、器用人は記号を用いるということになる。
 自然と文化の対立の軸上において、彼らの用いるこれら両集合(概念の全体と記号の全体)にはずれがあり、
 その差は感知できるほど大きい。
 記号と概念の対立点のうちの少なくとも一つは、概念が現実に対して全的に透明であろうとするのに対し、
 記号の方はこの現実の中に人間性がある厚みをもって入り込んでくる事を容認し、
 さらにはそれを要求する事さえあるという所にある。
 
 厳密にして翻訳困難なバースの表現を借りれば、”It addresses somebody."である。”

今日の発見
「石は、重い。そして、固い。円形に並べてみると、なぜかカッコいい。」

今日の夕食
 とり団子のポトフ、白飯 [シェフ、芦塚](實藤)



mukae studies vol.5 light of island 島の灯 初日 

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mukae studies vol.5 「島の灯」初日。

今回はスロースタート、静かな始まり。
参加予定だった2名程が、所用あって参加を断念との事。

もろもろの用事で直前まで京都に滞在していた事もあり、
昨日になってようやくポスターをもってご挨拶。

今回はやや準備が遅れていた事もあり、少しホッとしながら
2日目からどっと増える参加者に備えて食料品を宇野に買い出し。

いつもは容量が大きい割に軽量のプラスチックの躯体のついた一輪車を
川俣丸に乗せて宇野港の小型船係留桟橋に直接乗り付けての買い出し航路。
アスファルトの上をスムーズにゆくには4輪の台車より、大きな車輪のついた一輪車の
ほうがはるかに快適だったりする。

が、あいにくの雨。
行き、本村から小型旅客船に乗って宇野港へ。

何点か発注していた工具が未到着だったこともあり、宇野のホームセンター、ダイキに電話。
在庫を確認した後、ネット発注の未到着工具を全てキャンセルし、店買い。
iphoneを持つ様になってから、この辺りは切り替えがスムーズになった。

つい3年前のワークショップでは、試験的に導入していた一つしかない
初期型iphoneで気象情報などをチェックしていたのが遠い昔のようだ。
(さらにその1年前にはソフトバンク以前のボーダフォンは
 向島では全く使い物にならなかった。)

「いーんだか、どーなんだか。」などと一人ごちながら、
港近くの食堂で遅い昼食を取り、フェリーで戻る。
世間はGW。とはいえこちらも雨のせいかややスロースタートの雰囲気。

ずっしりと荷物をぶら下げて島に戻る。重い。(實藤)

女子きたる 

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さて、ワークショップを10日後に控え、
この日はお隣の直島は直島福武美術館財団で働く女性チームのご来訪。

普段は、朝起きてもろもろの家事の後、ヨッチャンこと竹中君は芝刈りに、
私、實藤は川に洗濯に、ではなく、竹中君は勤務先の直島のカフェ「中奥」に出勤し、
私は、木工所の整備等、もろもろの制作作業にあたる。

当プロジェクトは、海で隔てられた島が舞台である。

陸続きであれば、作業を覗きにきてくれる島民さんとの茶飲み話ついでに
輪も広がろうかというものだが、自家用船でもない限り僅か150mの海峡といえど
海を越える事は相当にハードルの高い行為である。
大抵は、毎日作業を覗きにくる猫を相手に静かな時を過ごす事になる。

カフェ中奥は、夜も営業している事もあり、お隣の直島で働く若い世代の憩いの場でもある。

「せっかく近くなんだから仲良く出来る人とはなかよくしたいよね。」

ということで、当プロジェクトの親善大使かつ清潔部長を買って出てくれた竹中君により、
当プロジェクトには、清潔と女子パワーがもたされたのであった。

夜、合流、プロジェクトハウスでの大まかなプロジェクトの概要のオリエンテーション後、
1日前にいそいそと仕込んだカレーを食し、歓談後、就寝。

開けて23日、集落を散策し、アババの浜の海岸清掃を行った後、
松の木チームと、母屋の洗面台前の煉瓦テラス制作チームに別れて、ミニワークショップ開始。

去年の冬に枯れ、復活なるかと春まで様子を見ていた松の木だったが、
先日の爆弾低気圧で畑の梅の木がまっ二つに割れてしまった事もあり、
立ち枯れのまま脆くなってしまえば母屋の家屋に損傷を与えかねない事もあって、
台風の季節を迎える前に早々に対処しなければと考えていた。

枝を落とした後、ロープをかけて安全な距離をとって松の木を倒す。
一方テラス制作チームは、あらかじめ収集しておいた庭に転がっていた古煉瓦もろもろを
再利用して、10年前から存在した様な可愛らしいテラスを制作。

ささやかにワーク・イン・プログレスの一日。賑やかに作業、楽しい。(實藤)

などなど 

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3月中旬に島入りして、木工所の整備を続けていた。

この1カ月でいろいろな事があった。

3月末にヨッチャンが越して来た。
少し一人で住むにはやや広すぎる母屋の清掃が行き届いていなかった事もあり、
2人でルールを作って、毎朝の30分の清掃時間を設け、その後のジョギングが日課になった。

毎日全部は無理なので1週間でローテーションを組んで月曜日は台所、
火曜日は玄関と廊下という形で掃除箇所を移動してゆく。
これは実に大きな進展で、2人で30分かけてじっくり一カ所を掃除するのでかなり丁寧な掃除が出来る。
家が清潔に保たれるというのは随分気持ちのいい事だ。

木工所の整備も徐々に進める。

これまでは庭でブルーシートをかけて木材を保管していたのだが、やはり長期間となると島入りするごとに
ブルーシートをめくって見ると雨水が染み込んで木材が徐々に傷んでいるのが見て取れた。
木材をストックするスペースを確保するには、玉突き的にもう一つある庭奥の納屋を整頓して、
木工所脇の倉庫から、去年のワークショップで仮置き的に詰め込まれていた古い農作業や木桶を移動させる必要がある。

庭奥の納屋は2004年の高潮の被災のせいか、土砂の山と化した傷んだ肥料袋をかき出す所から作業が始まる。
燃やせるものは、ドラム缶でどんどん燃す。
川俣丸で何度となく宇野に渡ってバスに乗り、ホームセンターに材料を仕入れに出向く。
新しく届いた工具箱に工具を整理し直し、工具のコンテナの収納棚、下見板張りの壁、窓、建具、等々。

そうこうしている間にも雨が降ったり、プロジェクトのポスターの制作、畑を耕し、
件の爆弾低気圧で畑脇の梅の樹がまっぷたつに折れたのをチェーンソーで細かくきったりなどなどなどなど。
(實藤)

mukae studies vol.5 light of island 島の灯 

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向島プロジェクトスタッフの皆様、ご協力頂いた皆様

ご無沙汰しております。
ぱらつく雨にモヤモヤしながら木工所をコツコツ作っている實藤です。

さて、ご連絡が随分遅くなってしまいましたが、
小さな島の小さなワークショップ、mukae studies !今年も継続して開催します。

今回のお題は「島の灯」。

当プロジェクトの根底を流れるお題、
アルチザンプログラムとして、島内に転がっている材料(=文脈)と持ち寄った
技術を紡ぎ合わせ、ブリコラージュ的手法でもってささやかに楽しい生産物を
作ろうと考えております。

内容は来てのお楽しみ。

季節は春、島はとても過ごしやすく、気持ちのよい季節となりました。
是非のご参加お待ちしております。


期日2012 5月2日(水)~5月8日(火)
場所 香川県香川郡直島町向島
実行主体 向島プロジェクト事務局、向島制作所
参加費用 一日辺り500円(宿泊参加の食費実費のみ、お弁当持参なら無料)、燃料費、光熱費はカンパ制
     希望者はボランティア保険(通しで500円程度、一年有効)
最大宿泊可能人数 6名程度
内容 島内照明の制作スタディ(風景へのフィッティングスタディ)、近隣諸島へのフィールドワーク、他

ご参加希望の方は、参加期日、住所、氏名、連絡先をご記入の上、
下記アドレスまでご連絡、お問い合わせ下さい。

向島プロジェクト事務局 mukaijimaproject@gmail.com


それでは!

小舟 


あらためて、向島という立ち位置(二次離島であるということ)について考えてみる。

二次離島であるということは、ひるがえすと定期船がない、ということだ。
島々を巡るフィールドワークの移動手段としては言うに及ばず、日用品の買い出しから
自家用の小型船、川俣丸が大活躍している。

定期船は、近代の象徴ともいえる。
決まった時刻に発着するのはもとより、誰でも目的の島へ渡ることができる。
要するに、陸続きの場所へ移動することと大差がない。



便利で安全な航海手段が断たれている、というルールがプロジェクトの前提としてすでに
織り込まれているところを面白く感じる。
そして、近代からこぼれ落ちてしまったものを、川俣丸による航海で拾い集める。

例えば、小舟ゆえ、天候や潮の状況には誰よりも注意を払わねばならないし、
見知らぬ島へ入港するときにはよその家の敷居をまたぐような、何だか 後ろめたい気持ち
その都度抱え込まなくてはならない。
(実際に、港で釣りをする島民の方から何度怪訝な顔をされたことか)
その点、定期船による航海は、まさにその“定期船”という制度的な免罪符が
いくらかバツの悪さを解消してくれるのだけれど。

そのように、千変万化してやまない外的な環境の変化、
内的な心境の変化を微細に感知してゆくこと。
目をそらさないこと。

小舟で海をゆくこと、換言すれば近代を再考することが、はからずも当プロジェクトの骨格を
なしているのは疑いようのない事実だと、今にして思う。
思えば、コールマイン田川にしても、炭鉱はモチーフに過ぎず、そこで問われたのは近代だった。
身体感覚に即した群島のヴィジョンをたよりに、小舟で近代化の波を乗り越える試み。
(芦塚)

川辺のウッドテラス 

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東スタの現場も無事オープン。

月島で進行中の、東京インプレグレスのプロジェクト、ウッドテラス制作に参加する。
スズキマン、野地君、イトー君、深野君ら、向島にも来てくれた川俣組のメンバーと再会。

この時期の外現場はなかなかに大変だったろうな。と思う痕跡がちらほら。

それでも、昼から太陽がさし始めると抜群のロケーションも相まって、
川俣さんの現場に特有の柔らかな雰囲気になる。

夕方前に失礼し、横浜からバスに乗る。(實藤)

春と梅と夜 

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東京スタデオの上野の現場が2月末から続く。

相も変わらず、こちらのバイクは車検が切れたまま。
殺人的といっていい朝のラッシュの地下鉄に詰め込まれ、通勤の日々。

雪が降った次の日から、春の兆しがちらほら。
温かくなれば、島での活動も楽しくなる。

本村と向島の間の小さな海峡を渡ること。
このプロジェクトの全ての意味は、その僅かな距離の海にある。(實藤)

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